検査項目解説 掲載内容は、2022 年 4 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
26362 |
M2BPGi (Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体)5C141-0000-023-052 |
遠心
|
01 |
4週 冷蔵 |
CLEIA | 陰性(-) |
194 D007 48 生Ⅰ |
2~3日 |
項目 コード |
検査項目 |
---|---|
26362 |
M2BPGi (Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体)5C141-0000-023-052 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
遠心
|
01 |
4週 冷蔵 |
CLEIA |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
陰性(-) |
194 D007 48 生Ⅰ |
2~3日 |
備考
基準
- 陰性(-) 1.00 未満
陽性(1+) 1.00~2.99
陽性(2+) 3.00 以上
参考
- 総合検査依頼書のマークチェックで依頼可能な項目です。
診療報酬
- 保険名称:血液化学検査/Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体
- 実施料:194
- 診療報酬区分:D007 48
- 判断料区分:生化学的検査(Ⅰ)
慢性肝炎または肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定できます。
「ATX」、「M2BPGi」、「P-Ⅲ-P」、「Ⅳ型コラーゲン」、「Ⅳ型コラーゲン・7S」または「ヒアルロン酸」を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定できます。
臨床的意義
慢性肝炎から肝硬変への進展度を推定する新しい血中指標。肝線維化に伴う糖鎖構造部分の変化を特異的に検出。
「脂肪肝」は、アルコール多飲を原因とする例が多いとされてきた。しかし、飲酒歴が無くても病態が成立する「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」や「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」が知られるようになり、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と総称されている。NAFLDは糖質の過剰摂取と関連深いため、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧などの様々な生活習慣病を合併することが多く、無自覚のまま慢性肝炎から肝硬変、肝癌へと進展するため、ウイルス性肝炎とともに命に関わる肝疾患として注目されている。
肝炎から肝硬変への進行度を表す「肝線維化」の指標には、古くから「肝生検」がゴールド・スタンダードとして用いられてきたが肝細胞を穿刺するという侵襲的な検査のため肉体的負担が大きく、危険もあるため単純な採血で評価できる検査項目の登場が待たれていた。
M2BPGiは、Mac-2結合蛋白(M2BP)という糖蛋白に着目した新しい肝線維化の指標であり、2015年1月に新規保険収載された。肝臓の線維化が進行すると、M2BP蛋白に付着した糖鎖構造部分に変化が現れるが、レクチンという特定の糖鎖を認識する蛋白でこれを検出している。
肝の線維化マーカーとして血中濃度が測定される「ヒアルロン酸」や「Ⅳ型コラーゲン」、「プロコラーゲンⅢペプチド」は、肝の線維化以外にも関節リウマチなどの自己免疫疾患等で上昇することがあるが、M2BPGiは肝線維化に特異的で、他疾患で高値になることはまれであり、また、肝線維化の進行と高い相関を持つとされ、肝硬変から肝癌への発症予測や肝癌切除術後生存の術前予測にも有用との報告がある。
【高値を示す病態】
肝硬変などの肝線維化疾患
【低値を示す病態】
低値側の臨床的意義は少ない
参考文献
柴田 宏, 他: 臨床病理 63, 72, 2015.