検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 | 実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
45750 |
肺癌EGFR遺伝子変異解析Clamp8C051-9951-070-953 8C051-9951-075-953 8C051-9951-075-953 8C051-9951-042-953 8C051-9951-091-953 |
または
または
または
または
|
27
30
27
指定容器 55
指定容器 55 |
凍-70℃以下
常温
常温
冷蔵
冷蔵 |
PNA-LNA PCR Clamp法 | 検出せず |
包括0 D004-2 2 遺染 |
4~8日 |
項目 コード |
検査項目 |
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45750 |
肺癌EGFR遺伝子変異解析Clamp8C051-9951-070-953 8C051-9951-075-953 8C051-9951-075-953 8C051-9951-042-953 8C051-9951-091-953 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
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または
または
または
または
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27
30
27
指定容器 55
指定容器 55 |
凍-70℃以下
常温
常温
冷蔵
冷蔵 |
PNA-LNA PCR Clamp法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
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検出せず |
包括0 D004-2 2 遺染 |
4~8日 |
備考
項目
- 受付曜日:月~金曜日(休日とその前日は受付不可)
依頼
- 『遺伝子検査依頼書』をご利用ください。
検体
- 病理組織診断にて悪性腫瘍が認められていることを確認の上、ご提出ください。腫瘍細胞が少ない場合、変異を検出できない場合があります。
- 一般に推奨される固定液は10%中性緩衝ホルマリンです。固定時間の目安は、手術材料では室温で18~36時間、生検材料では室温で3~6時間程度です。4~5mm程度の厚さの組織として短時間で固定した後に切り出しを行うことにより核酸の断片化が改善されることがあります。
- ホルマリン固定検体では、固定条件によってDNAの断片化が著しく、解析不能な場合があります。
- 「胸水」「気管支肺胞洗浄液」は細胞診検査にて悪性腫瘍細胞が認められていることを確認の上、ご提出ください。
- 強酸による脱灰操作をした検体は検査できません。
診療報酬
- 保険名称:悪性腫瘍組織検査/悪性腫瘍遺伝子検査/処理が容易なもの/その他のもの
- 実施料:包括0
- 診療報酬区分:D004-2 2
- 判断料区分:遺伝子関連・染色体検査
肺癌の詳細な診断および治療法の選択を目的として患者本人に対して行った場合に限り、原則患者1人につき1回に限り算定できます。算定に当たっては、「EGFR遺伝子検査(リアルタイムPCR法以外)」と診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。
肺癌においては、再発や増悪から2次的遺伝子変異等が疑われ再度治療法を選択する必要がある場合にも算定できます。EGFR遺伝子変異解析コバスv2 〈血漿〉と同一月に併せて行った場合は、主たるもののみ算定できます。
「悪性腫瘍遺伝子検査」、「造血器腫瘍遺伝子検査」、「免疫関連遺伝子再構成」、「FLT3遺伝子検査」または「JAK2遺伝子検査」のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定できます。
患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して悪性腫瘍遺伝子検査を実施した場合は、次の通り算定します。2項目:4000点。3項目:6000点。4項目以上:8000点。
容器
臨床的意義
抗癌剤ゲフィチニブの効果を予測する検査。変異があると効く可能性が高まる。
非小細胞肺癌の治療に用いられる抗癌剤ゲフィチニブ(商品名「イレッサ」)は、上皮成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor; EGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害することで細胞増殖を抑制し、抗癌作用を発揮する薬剤である。
ゲフィチニブが臨床応用されると、かなりの腫瘍縮小効果が認められる症例と、効果に乏しい症例に分けられることが次第に明らかとなってきた。その原因は、EGFRの遺伝子変異と密接な関連があるとされている。
EGFRは細胞表面に存在し、上皮成長因子(EGF)が結合すると細胞内にシグナルを伝達する。このシグナルには「細胞増殖」を刺激する流れと、「細胞生存」を刺激する流れの2種類がある。ゲフィチニブ著効症例では、このEGFRに遺伝子変異が起こっている。すなわち、正常EGFRはEGFの結合で「細胞増殖」シグナルを主に伝達するのに対し、変異型EGFRでは「細胞生存」シグナルの方が刺激される。その結果、過度の生存シグナルが入り、アポトーシスが起こらない異常細胞が増え続ける。ゲフイチニブの抗腫瘍効果は、変異EGFR(ゲフィチニブ感受性遺伝子変異)による異常な「細胞生存」シグナルを遮断することで発揮される。
EGFR遺伝子変異の認められる症例では、70%に腫瘍縮小効果(partial response; PR)が認められる。逆に遺伝子変異が存在しない場合、PR以上の効果がみられる症例は10%に留まるという。ゲフィチニブの代表的副作用として間質性肺炎が知られているが、遺伝子変異の無い症例では、期待される抗癌作用の低さにくらべ副作用のリスクが高い可能性がある。
EGFR遺伝子変異の検査は、通常、肺癌の治療開始前に、効果を予測する目的で実施される。日本肺癌学会のゲフィチニブ使用に関するガイドライン(2005年)では、ゲフィチニブ投与によって延命効果が期待される可能性の高い症例は、腺癌、女性、東洋人、非喫煙者、そしてEGFR遺伝子変異のある症例と記載されている。
本検査は、この目的に開発された「PNA-LNA PCR clamp法」を用いて、EGFR遺伝子変異の有無を高感度に解析するものである。Clamp法は正常型遺伝子をブロックすることにより、変異型遺伝子のみを増幅させ検出する方法である。本法では約1%程度の遺伝子の変異が検出できるため、他の検出方法と比較しても高感度に遺伝子変異を検出できるとされている。
【陽性を示す病態】
EGFR遺伝子変異の認められる肺癌、等
参考文献
Nagai, Y. et al.: Cancer Res. 65, 7276, 2005.