検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 | 実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
45592 |
EGFR遺伝子変異解析コバスv2 〈血漿〉8C051-9951-022-862 |
遠心
|
17 ↓ 27 |
凍-20℃以下 |
リアルタイムPCR法 | 検出せず |
2100 D006-12 遺染 |
5~7日 |
項目 コード |
検査項目 |
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45592 |
EGFR遺伝子変異解析コバスv2 〈血漿〉8C051-9951-022-862 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
遠心
|
17 ↓ 27 |
凍-20℃以下 |
リアルタイムPCR法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
検出せず |
2100 D006-12 遺染 |
5~7日 |
備考
項目
- チャート参照:コンパニオン診断薬として用いられる検査項目と対象医薬品
- 受付曜日:月~金曜日(休日とその前日は受付不可)
依頼
- 『遺伝子検査依頼書』をご利用ください。
検体
- EDTA-2K 6mL採血管(17番容器)を2本採血後、遠心分離し、血漿5mLを滅菌スピッツ(27番容器×2本)に等量移注、深冷凍結してご提出ください。※白血球を混入させないでください。
- <血液の遠心分離条件>1,300~1,700×gで10分間遠心分離 ※常温遠心(15~25℃)
診療報酬
- 保険名称:EGFR遺伝子検査(血漿)
- 実施料:2100
- 診療報酬区分:D006-12
- 判断料区分:遺伝子関連・染色体検査
肺癌の詳細な診断および治療法を選択する場合は患者1人につき1回、肺癌の再発や増悪により、EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異等が疑われ、再度治療法を選択する場合は2回に限り算定できます。
本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、「EGFR遺伝子変異解析」を行うことが困難な場合に限ります。肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録および診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。
肺癌の組織を検体とした「EGFR遺伝子変異解析」、「EGFR遺伝子変異解析〈血漿〉」または「肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」を同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定できます。
チャート

容器
臨床的意義
EGFR遺伝子変異を検出しオシメルチニブ(タグリッソR)投与の有用性を診断する検査。
「EGFR遺伝子変異解析コバスv2〈血漿〉」は血漿から抽出したcfDNA(cell-free DNA)を用いてEGFR遺伝子変異を検出し、第3世代EGFR-TKI剤であるオシメルチニブ(タグリッソR)の投与の有用性を診断する検査である。
日本において肺癌は罹患者数では常に上位に位置し、2018年では男女とも最も死亡者数の多い癌とされ、肺癌はさらに小細胞癌と非小細胞肺癌(Non-Small Cell Lung Cancer; NSCLC)に大別され、NSCLCは肺癌の約80~85%を占める。
NSCLCの治療にEGFR-TKI剤であるゲフィチニブが2002年7月に世界に先駆けて日本で承認され、劇的な効果をもたらした。EGFR-TKI剤の治療効果予測のためには腫瘍組織のEGFR遺伝子変異検査が必須であるが、変異が認められ投与適応と診断されても、治療を続けるうちに1年程で多くの症例が二次耐性を獲得し、これらの約半数にEGFR遺伝子エクソン20領域でのT790M変異(コドン790におけるトレオニンからメチオニンへの変異)を認めることが明らかになった。
コンパニオン診断薬を使用した本検査はT790M変異を含むEGFR遺伝子変異をリアルタイムPCR法で検出し、T790M変異が認められた症例ではオシメルチニブの投与が有効とされている。
日本肺癌学会「肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き」では、再生検された組織検体および細胞検体での検査が推奨され、再生検が不成功もしくは困難と判断される場合にのみ血漿検体の使用を検討するとされている。また、腫瘍由来DNAが十分に血漿中に漏出していない例もあるため、必ずしも血漿検体が組織検体の代用となるものではないことを予めご了承いただきたい。
参考文献
Sun, J. M. et al.: Expert Opin Pharmacother 18, (2), 225, 2017.
日本肺癌学会: 肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き, (第3.05版), 2016.