検査項目解説検査項目解説

掲載内容は、2021年9月1日時点の情報です。

入力コード 06857  統一コード 2B310 
項目名 トータルPAI-1 (t-PAI-1)
total PAI-1
実施料
包括240
判断料区分 血液 
健康保険名称  出血・凝固検査/tPA・PAI-1複合体 
検査方法
ラテックス凝集法
検査材料
クエン酸血漿
 
検体量(ml)
容器番号
保存方法
1 クエン酸血漿 0.3
15 → 02
※チャート欄参照
凍結
検査材料備考

必ず血漿分離の上、ご提出ください。

3.2%クエン酸ナトリウム液0.2mL入り容器に血液1.8mLを正確に入れ、全量2.0mLにしてよく混和後、1,500×g、15分間遠心分離し、血漿を凍結してご提出ください(遠心力の換算表チャート、およびCLSI/NCCLSドキュメントH21-A5参照)。

チャート参照:出血凝固検査において、多項目同時依頼の際の必要血漿量は、[0.40 + (0.10 x 依頼項目数)]mLが目安となります。

報告所要日数
2~5日
基準値(単位)  
ng/mL

50 以下

臨床的
意義 
プラスミノーゲンアクチベーターと結合して線溶系を抑制する糖蛋白。血管内皮を傷害する血栓症、DICで上昇。
   PAI-1は分子量約5万、アミノ酸379個からなる糖蛋白である。主たる機能は線溶系の阻害にあり、「組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)」という酵素を阻害することで達成される。ここでt-PAは、活性中心にセリンを持つ蛋白融解酵素(セリンプロテアーゼ)であり、おもに血管内皮で産生され、血栓を溶解する主役「プラスミン」の産生を担っている。

 線溶系の暴走は止血障害をもたらすため、これを制御する役割をPAI-1は担っている。すなわちPAI-1は、t-PAと特異的に1:1結合し、複合体(t-PA・PAI-1)を形成することでt-PAを失活させ、線溶系を抑制する。

 PAI-1は血管内皮細胞や脂肪細胞、骨髄巨核球などで産生され、血小板に貯蔵される。このためPAI-1の血中濃度は、以下の病態で上昇が認められる。

 1)血管内皮細胞の障害:血栓症、DIC、薬物、過度の駆血など。悪性腫瘍や敗血症では、エンドトキシンやサイトカインで血管内皮細胞が刺激され、DICの誘因となる。

 2)脂肪細胞からの産生:メタボリックシンドロームでTNF-αとともに増加し血栓形成を促進するため、危険因子と目されている。

 3)組織の再構築、細胞の移動(癌細胞の転移との関与が注目されている)

 たとえば出血で血小板が活性化されると、PAI-1は血中に放出され、t-PAと不可逆的に結合してt-PAを失活させ、プラスミン生成を抑制することで、アンチプラスミン(α2-PI)とともに線溶系を抑制する。なお、tPAの95%以上はt-PA・PAI-1複合体になっており、ほとんどが中和されて存在しているという。

 本検査ではt-PA・PAI-1複合体を含めたPAI-1の総量が測定される。血中でのPAI-1濃度の上昇は線溶活性が低いことを意味し、裏を返せば血栓が出来やすい状態を意味する。

 α2-PIやプラスミノーゲンの血中濃度は、通常ほぼ一定に調節されている。これに対しPAI-1の血中濃度は病態によっては100倍以上と振れ幅が大きいため、敗血症やDICの病勢評価に活用される。なお、PAI-1には日内変動があり、早朝高く、夕方から夜にかけて半分以下に低下するという特徴がある。よって採血時間を一定に保つ(原則として早朝空腹時)とともに、血小板を刺激しないよう採血や血漿分離は静かに行う。採取後の検体は速やかに測定に供しないと失活の恐れがあり、保存が必要な場合は血漿をマイナス80℃に急速凍結するのがよい。

【高値となる病態】
 (敗血症などの)重篤な感染症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、深部静脈血栓症(DVT)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、肝疾患など。
生理的な上昇:妊娠
【低値を示す病態】
 先天性PAI-1欠損症(線溶系を抑制できないため、止血異常をきたす)
 

※総合検査依頼書のマークチェックで依頼可能な項目です。

チャート 

遠心力の換算表

多項目同時依頼の血漿量目安(出血凝固検査)

容  器  
採取容器
提出容器

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