WEB総合検査案内 掲載内容は、2024 年 10 月 1 日時点の情報です。

項目
コード
検査項目 採取量(mL)

遠心

提出量(mL)
容器 安定性
保存
方法
検査方法 有効治療濃度
採血時期
実施料
診療報酬区分
判断料区分
所要日数

26229

シロリムスsirolimus

3M814-0000-019-205

 

 

EDTA加血液
1

指定容器 

 

07

 

7日

冷蔵

LC-MS/MS

ng/mL

投与直前(トラフ)

管理料[470]

B001 2イ

4~10日

項目
コード
検査項目

26229

シロリムスsirolimus

3M814-0000-019-205

採取量(mL)

遠心

提出量(mL)
容器 安定性
保存
方法
検査方法

 

 

EDTA加血液
1

指定容器 

 

07

 

7日

冷蔵

LC-MS/MS
基準値
(単位)
実施料
診療報酬区分
判断料区分
所要
日数

ng/mL

投与直前(トラフ)

管理料[470]

B001 2イ

4~10日

備考

検体

  • 専用採血管に規定量を採血し、必要検体量をご提出ください。

基準

  • ご参考:推奨トラフ値は5~15ng/mLです(有効治療濃度は設定されていません。推奨トラフ値はあくまでリンパ脈管筋腫症治療時の投与量の目安としてご利用ください)。

算定

  • チャート参照:特定薬剤治療管理料

参考

  • 主な商品名:ラパリムス

「薬毒物検査」分野共通の特記事項

  • [ご注意]血中薬物検査をご依頼の際は、分離剤入り採血管は使用しないでください(測定値が分離剤の影響を受ける場合があります)。

診療報酬

  • 保険名称:特定疾患治療管理料/特定薬剤治療管理料1
  • 実施料:管理料[470]
  • 診療報酬区分:B001 2イ

厚生労働省通知原文「注釈」

■ 特定薬剤治療管理料1

  • ア 特定薬剤治療管理料1は、下記のものに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。(イ) 心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの(ロ) てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの(ハ) 臓器移植術を受けた患者であって臓器移植における拒否反応の抑制を目的として免疫抑制剤を投与しているもの (ニ) 気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫又は未熟児無呼吸発作の患者であってテオフィリン製剤を投与しているもの (ホ) 不整脈の患者であって不整脈用剤を継続的に投与しているもの (ヘ) 統合失調症の患者であってハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与しているもの (ト) 躁うつ病の患者であってリチウム製剤を投与しているもの (チ) 躁うつ病又は躁病の患者であってバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを投与しているもの (リ) ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又はその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分で、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る。)、再生不良性貧血、赤芽球癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者に限る。)、ネフローゼ症候群若しくは川崎病の急性期の患者であってシクロスポリンを投与しているもの (ヌ) 全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎又は間質性肺炎(多発性筋炎又は皮膚筋炎に合併するものに限る。)の患者であってタクロリムス水和物を投与しているもの (ル) 若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者であってサリチル酸系製剤を継続的に投与しているもの (ヲ) 悪性腫瘍の患者であってメトトレキサートを投与しているもの (ワ) 結節性硬化症の患者であってエベロリムスを投与しているもの (カ) 入院中の患者であってアミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はトリアゾール系抗真菌剤を数日間以上投与しているもの (ヨ) 重症又は難治性真菌感染症又は造血幹細胞移植の患者であってトリアゾール系抗真菌剤を投与(造血幹細胞移植の患者にあっては、深在性真菌症の予防を目的とするものに限る。)しているもの (タ) イマチニブを投与しているもの (レ) リンパ脈管筋腫症の患者であってシロリムス製剤を投与しているもの (ソ) 腎細胞癌の患者であって抗悪性腫瘍剤としてスニチニブを投与しているもの (ツ) 片頭痛の患者であってバルプロ酸ナトリウムを投与しているもの (ネ) 統合失調症の患者であって治療抵抗性統合失調症治療薬を投与しているもの (ナ) ブスルファンを投与しているもの
  • イ 特定薬剤治療管理料1を算定できる不整脈用剤とはプロカインアミド、N-アセチルプロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、アプリンジン、リドカイン、ピルジカイニド塩酸塩、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、シベンゾリンコハク酸塩、ピルメノール、アミオダロン、ソタロール塩酸塩及びベプリジル塩酸塩をいう。
  • ウ 特定薬剤治療管理料1を算定できるグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいい、トリアゾール系抗真菌剤とは、ボリコナゾールをいう。
  • エ 特定薬剤治療管理料1を算定できる免疫抑制剤とは、シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロリムス及びミコフェノール酸モフェチルをいう。
  • オ 特定薬剤治療管理料1を算定できる治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンをいう。
  • カ 当該管理料には、薬剤の血中濃度測定、当該血中濃度測定に係る採血及び測定結果に基づく投与量の管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうちに2回以上血中濃度を測定した場合であっても、それに係る費用は別に算定できない。ただし、別の疾患に対して別の薬剤を投与した場合(例えば、てんかんに対する抗てんかん剤と気管支喘息に対するテオフィリン製剤の両方を投与する場合)及び同一疾患についてアの(イ)から(ネ)までのうち同一の区分に該当しない薬剤を投与した場合(例えば、発作性上室性頻脈に対してジギタリス製剤及び不整脈用剤を投与した場合)はそれぞれ算定できる。
  • キ 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に添付又は記載する。
  • ク ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合は、1回に限り急速飽和完了日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った急速飽和完了日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。なお、急速飽和とは、重症うっ血性心不全の患者に対して2日間程度のうちに数回にわたりジギタリス製剤を投与し、治療効果が得られる濃度にまで到達させることをいう。
  • ケ てんかん重積状態のうち算定の対象となるものは、全身性けいれん発作重積状態であり、抗てんかん剤を投与している者について、注射薬剤等の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合は、1回に限り、重積状態が消失した日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った重積状態消失日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。
  • コ 「注3」に規定する点数を算定する場合にあっては、「注8」に規定する加算を含め別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。
  • サ 「注4」に規定する「抗てんかん剤又は免疫抑制剤を投与している患者」には、躁うつ病又は躁病によりバルプロ酸又はカルバマゼピンを投与している患者が含まれ、当該患者は4月目以降においても減算対象とならない。また、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する「4月目以降」とは、初回の算定から暦月で数えて4月目以降のことである。
  • シ 免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者については、臓器移植を行った日の属する月を含め3月に限り、臓器移植加算として「注6」に規定する加算を算定し、「注8」に規定する初回月加算は算定しない。また、「注6」に規定する加算を算定する場合には、「注9」及び「注10」に規定する加算は算定できない。
  • ス 「注7」に規定する加算は、入院中の患者であって、バンコマイシンを数日間以上投与しているものに対して、バンコマイシンの安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定を行った場合は、1回に限り、初回月加算(バンコマイシンを投与した場合)として「注7」に規定する加算を算定し、「注8」に規定する加算は別に算定できない。
  • セ 「注8」に規定する初回月加算は、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り算定できるものであり、薬剤を変更した場合においては算定できない。
  • ソ 「注9」に規定する加算を算定する場合は、ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度測定の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載すること。
  • タ 「注10」に規定する加算を算定する場合は、エベロリムスの初回投与から3月の間に限り、当該薬剤の血中濃度測定の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載すること。
  • チ 「注9」及び「注10」に規定する加算は同一月内に併せて算定できない。
  • ツ 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

チャート

特定薬剤治療管理料

容器

容器番号07:免疫抑制剤用容器

  • 採取量: 5mL
  • 添加剤: EDTA-2Na
  • 保管方法:常温
  • 有効期間:容器および箱表示
  • 主な検査項目: シクロスポリン,
    タクロリムス,
    シロリムス,
    エベロリムス

参考文献

瀬山邦明: 日本内科学会雑誌 99, (7), 91, 2010.

検査項目解説

臨床的意義

肺リンパ脈管筋腫症(LAM)の治療薬である。CYP3A4を介して代謝されるため併用薬を留意の上、血中濃度測定が推奨される。

1.作用
 シロリムスは、2014年に本邦において世界ではじめて承認された肺リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)の治療薬である。

 LAMはまれな疾患で、本邦での有病率は100万人に1.2~2.3人程度、妊娠可能な年齢の女性に好発し、男性での発症はきわめてまれである。本症は平滑筋に似たLAM細胞が、肺やリンパ節で増殖し、リンパ管の新生を伴い肺に嚢胞を形成、呼吸不全をもたらす原因不明の難病である。LAMの進行は緩徐で不可逆的であり、肺病変に結節性硬化症(TSC)を合併するTSC-LAMと、肺単独で発症する孤発性LAMに分類される。

 1990年代にTSCの病因遺伝子(腫瘍抑制遺伝子)としてTSC1遺伝子とおよびTSC2遺伝子が発見された。本遺伝子はそれぞれハマルチンとツベリン、2つのタンパク質をコードしており、これらが複合体を形成し、ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を制御している。

 本症の治療に用いられるラパマイシンは、mTORの阻害剤で、mTORとraptorの結合を阻害し、mTORC1を抑制することにより、活性化されていたLAM細胞の増殖を抑制することで薬効を発揮する。

 シロリムスは吸収に個人差があるため血中濃度が変化しやすく、食事による影響を受ける。また、代謝はチトクロームP450(CYP3A4)を介して行われるため、併用薬によって血中濃度が上昇をみることがあり、血中濃度測定が推奨される。

2.禁忌
 生ワクチン(乾燥弱毒生麻疹ワクチン、乾燥弱毒生風疹ワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCGなど)との併用。抗菌薬の一部には併用しないことが推奨されている。

3.採血時期
 次回投与直前(トラフ)

【主に用いられる疾患】

リンパ脈管筋腫症

【副作用】

重症感染症間質性肺炎消化管障害ざ瘡末梢性浮腫

関連疾患

D21.9.1:リンパ脈管筋腫症 D10-D36:良性腫瘍
B99.3:重症感染症 B99-B99:感染症
J84.9.1:間質性肺炎 J80-J84:その他の肺疾患
K63.9.1:消化管障害 K55-K64:その他の腸疾患
L70.9.1:ざ瘡 L60-L75:皮膚付属器の疾患
R60.0.11:末梢性浮腫 R50-R69:全身症状・徴候
※ ICD10第2階層コードでグルーピングした検査項目の一覧ページを表示します.

フリーワード検索

複数ワードはスペース区切り:
ページトップへ

記載内容について