検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
01924 |
第Ⅷ因子インヒビター (F8INH)2B460-0000-022-311 |
遠心
|
15 ↓
02 |
2週 凍 |
Bethesda法 | BU/mL 検出せず |
包括144 D006 20 血液 |
2~5日 |
項目 コード |
検査項目 |
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01924 |
第Ⅷ因子インヒビター (F8INH)2B460-0000-022-311 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
遠心
|
15 ↓
02 |
2週 凍 |
Bethesda法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
BU/mL 検出せず |
包括144 D006 20 血液 |
2~5日 |
備考
検体
- 必ず血漿分離の上、ご提出ください。
- 検体提出(容器番号 02番)は、4mL容器をご使用ください。
- 3.2%クエン酸ナトリウム液0.2mL入り容器に血液1.8mLを正確に入れ、全量2.0mLにしてよく混和後、1,500×g、15分間遠心分離し、血漿を凍結してご提出ください(遠心力の換算表チャート、およびCLSI/NCCLSドキュメントH21-A5参照)。
診療報酬
- 保険名称:出血・凝固検査/凝固因子インヒビター
- 実施料:包括144
- 診療報酬区分:D006 20
- 判断料区分:血液学的検査
チャート

容器
臨床的意義
血液凝固因子である第Ⅷ因子、第Ⅸ因子に対する抗体。凝固因子製剤投与中の血友病患者で失活因子となる。
血液凝固因子である第Ⅷ因子(F.Ⅷ)、第Ⅸ因子(F.Ⅸ)は止血機構に関して重要な役割を担っており、一般にF.Ⅷが欠損または量的に不足している病態を「血友病A」、F.Ⅸの欠乏を「血友病B」と呼ぶ。血友病は伴性劣性遺伝であり、F.Ⅷ、F.Ⅸをコードしている遺伝子は性染色体であるX染色体に存在している。男性の性染色体はXY、女性はXXであり、男性はX染色体を1本しかもっていないため、X染色体に異常がある場合に血友病を発症する。一方、女性の場合はX染色体が2本あるため、対になるもう一方が正常であれば血友病は発症せず保因者となる。
日本では血友病患者が4,000~5,000人いるといわれ、血友病AとBの発症比率はおよそ4:1である。血友病患者は軽度の運動負荷で遷延性の出血を来すため、凝固因子製剤の投与による補充療法が行われる。しかし、長年にわたる凝固因子製剤の投与で、患者に抗体産生が誘導されることがある。この抗体をそれぞれ、F.Ⅷインヒビター、F.Ⅸインヒビターと呼ぶ。
インヒビターが血中に存在すると、各凝固因子蛋白に結合し、凝固活性が失われるため、止血管理が非常に困難となる。したがって、このインヒビターの産生を早期にとらえて対処するためだけでなく、補充療法中の患者で十分な止血効果が得られない際にも、インヒビターの存在を疑い、検査が行われる。また、血友病患者以外にも、妊産婦や全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患患者にもインヒビターが出現することがある。一般に非血友病患者の場合で血中にインヒビターが存在する場合は、プロトロンビン時間(PT)は正常であるが、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長する。
【陽性を示す病態】
妊産婦、自己免疫疾患(SLE、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)
[第Ⅷ因子インヒビター] 第Ⅷ因子製剤投与中のインヒビター産生がみられる患者
[第Ⅸ因子インヒビター] 第Ⅸ因子製剤投与中のインヒビター産生がみられる患者
参考文献
高松純樹: 日本臨牀 57, (増刊 広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査2), 604, 1999.