検査項目解説検査項目解説

掲載内容は、2021年11月1日時点の情報です。

分野別:
入力コード 12489  統一コード 3F140 
項目名 リポ蛋白分画《HPLC》
lipoproteins, fractionation [PAGE]
実施料
129
判断料区分 生Ⅰ 
健康保険名称  血液化学検査/リポ蛋白分画(HPLC法) 
検査方法
HPLC
検査材料
血清
 
検体量(ml)
容器番号
保存方法
1 血清 0.5
01
冷蔵(凍結不可)
検査材料備考

血清以外は検査不可。

報告所要日数
5~7日
 
%, mg/dL

※Otherには、カイロミクロン、カイロミクロンレムナント、Lp(a)などが含まれると考えられます。
チャート参照:「リポ蛋白分画《HPLC》」基準値

臨床的
意義 
リポ蛋白を電気泳動法で分画し、高脂血症の分類と病態把握を行う検査。
   脂質は水に溶けないため、血中では脂質粒子のまわりを蛋白質(アポ蛋白)が取り囲み、親水性が増した状態で存在している。すなわち、コレステロールや中性脂肪など脂質の大半は、多数のアポ蛋白分子と球状の複合体を形成しており、内側に疎水性の脂質、外側に親水性の蛋白やリン脂質が付いた形で可溶性を維持している。この粒子をリポ蛋白と呼ぶ。

 リポ蛋白は粒子の大きさが70~10,000Åとさまざまであり、比重の大小で分類される。すなわち、軽い順にカイロミクロン(chylomicron)、超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein.VLDL)、低比重リポ蛋白(low density lipoprotein; LDL)、高比重リポ蛋白(high density lipoprotein; HDL)、の4つに大別される。粒子のサイズはこの順に大きい。比重の差が生ずる理由は蛋白部分と脂質の比率の違いによる。蛋白は油より重いため、蛋白の占める割合は大きいほど比重は大きくなる。すなわち、HDLは、粒子径こそ小さいが、蛋白の割合が多いため、比重は大きいと解釈される。

 さて、それぞれのリポ蛋白粒子には、上記分類ごとにアポA, アポBなど、ある程度決まったアポ蛋白が存在する。これらアポ蛋白は、単に脂質を可溶化させるだけでなく、アポ蛋白粒子中の脂質を目的地に運び特異的受容体に取り込ませたり、代謝を行う役目を持っている。一方、脂質も中性脂肪はカイロミクロンやLDLに多く、コレステロールはHDLにもLDLにも含まれるなど、ある程度分布が決まっている。ちょうど、交通機関にバスとタクシーが存在するように、脂質はLDLやHDLという「乗り物」に乗って血中を移動していると考えればよい。バスとタクシーでは、乗っているのが同じ人間でも、乗り物の大きさや目的地が異なるのに似ている。

 たとえばHDLで運ばれるコレステロールは、末梢組織で余ったコレステロールとして肝臓に運ばれ、処理される運命にある。逆にLDLで運ばれるコレステロールは、末梢で必要なコレステロールとして各組織に配送される。したがって、LDLコレステロールの過剰は、末梢への過剰供給を反映し、動脈硬化をもたらすため、悪玉コレステロールと言われる訳である。

 さて、カイロミクロン、VLDL、LDL、HDLといったリポ蛋白を分析定量するには、電気泳動法と沈殿法がある。このうち電気泳動法では、患者の血清をアガロースゲルの中で泳動し、脂質染色を加えて発色させ、帯状に可視化されたリポ蛋白をデンシトメータで読み込むことで、それぞれのリポ蛋白量や比率を数値で表現するものである。
具体的にはα分画がHDL、pre-β分画がVLDL、β分画がLDLにほぼ対応する。ここで云うα、βという表現は、電気泳動を行った際に、移動した場所を表現したもので、陽極寄りの方からα、pre-β、β分画と命名されている。なお、沈殿法と比べ、VLDLとLDLの順が逆なのに注意すること。

 電気泳動法では、カイロミクロンは正しく測定されずテーリング(尾を引いてはっきり特定できない)という形をとってしまう。また、本法は定量性にも乏しい。しかし、安価で簡便であり、「β-リポ蛋白分画」検査と異なりHDLが分画されるため、α(HDL)、pre-β(VLDL)、β(LDL)の構成比を把握する目的であれば、大変有用である。

【高値を示す病態】
 α(HDL):CETP欠損症、肝性トリグリセライドリパーゼ欠損症
 pre-β(VLDL):Ⅱb型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型高リポ蛋白血症
 β(LDL):Ⅱa型、Ⅱb型高リポ蛋白血症
【低値を示す病態】
 α(HDL):家族性低HDL血症、Tangier病、アポ蛋白A-Ⅰ欠損症、
 pre-β(VLDL):無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症
 β(LDL):無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症
チャート 

「リポ蛋白分画《HPLC》」基準値

容  器 
提出容器

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