検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
01158 |
ケトン体分画 〈静脈血〉3E045-0000-023-271 |
冷却
|
01 ↓
02 |
4週 凍-70℃以下 |
酵素法 | μmol/L |
59 D007 19 生Ⅰ |
2~3日 |
項目 コード |
検査項目 |
---|---|
01158 |
ケトン体分画 〈静脈血〉3E045-0000-023-271 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
冷却
|
01 ↓
02 |
4週 凍-70℃以下 |
酵素法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
μmol/L |
59 D007 19 生Ⅰ |
2~3日 |
備考
項目
- 総ケトン体にアセトンは含まれません。
検体
- 早朝空腹時採血(静脈)。
- 採血後、速やかに血清分離し、凍結してください。
基準
- チャート参照:「ケトン体分画(静脈血)」基準値
診療報酬
- 保険名称:血液化学検査/ケトン体分画
- 実施料:59
- 診療報酬区分:D007 19
- 判断料区分:生化学的検査(Ⅰ)
「ケトン体」、「ケトン体分画」の検査を併せて実施した場合は、「ケトン体分画」の所定点数のみ算定できます。
チャート

容器
臨床的意義
脂肪酸の分解産物。静脈血中では糖尿病の重症化に伴うケトアシドーシスで高値。動脈血ではケトン体比により肝機能の指標に。
ケトン体はアセト酢酸(AcAc)、3-ヒドロキシ酪酸(3-OHBA)、アセトンの3種類の物質から構成される。本検査は、その中でケトアシドーシスなどの診断に重要なAcAcと3-OHBAの2物質を分画定量するものである。
ケトン体は脂肪酸がβ酸化されたものであり、さまざまな筋肉で利用される。AcAc、3-OHBAは酸性なのでこれらが高値になり予備量を越えるとケトアシドーシスを引き起こす。特に1型糖尿病では3-ハイドロキシ酪酸が著明に増加する。また、アセトンは健常人血中にはほとんど認められないが、産生された場合には、揮発性のため呼気中にケトン臭として観察される。
静脈血中において血中濃度が高値になる要因は、一般に利用低下よりも、肝での脂肪酸酸化によるケトン体生成亢進によるものが多い。たとえば摂取栄養量の低下により体脂肪を動員する場合のように、エネルギー代謝が脂肪酸に偏った状態は、肥満患者の治療に低エネルギー食療法を行った際にみられる。また、1型糖尿病(IDDM)における、インスリン欠乏によるブドウ糖利用の低下、脂肪酸動員の亢進状態でも増加し、速やかにインスリンを投与するなどの処置が必要となる。
動脈血中では、ケトン体は肝細胞におけるミトコンドリア機能を反映するため、動脈血ケトン体比(AcAc/3-OHBA比)をとることにより、肝機能の予備能の把握などに用いられる。一般に、肝予備能を評価するためには古くからインドシアニングリーン(ICG)試験や複合因子H(ヘパプラスチンテスト)が用いられているが、動脈血ケトン体比はICG最大除去率(ICGRmax)と良く相関するといわれている。
【異常を示す病態】 静脈血: 異常の際は高値を示す(糖尿病の重症化に伴うケトアシドーシス、下痢や嘔吐、脱水によるアシドーシス、飢餓、発熱による消耗状態、グルカゴノーマ など)
動脈血: 異常の際は低下する(肝硬変、肝臓癌、重症肝疾患、肝機能低下、肝切除前の肝予備能の把握、肝移植時の肝予備能の把握、など)
参考文献
Harano, Y. et al.: Clin. Chim. Acta. 134, 327, 1983.