検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
07213 |
マイクロサテライト不安定性検査(MSI) (リンチ症候群)8C986-0000-070-955 8C986-0000-073-955 |
複数検体
および
|
※
※ |
常温
冷蔵 |
PCR法/キャピラリー電気泳動法 | 包括2100 D004-2 1 遺染 |
7~13日 |
項目 コード |
検査項目 |
---|---|
07213 |
マイクロサテライト不安定性検査(MSI) (リンチ症候群)8C986-0000-070-955 8C986-0000-073-955 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
複数検体
および
|
※
※ |
常温
冷蔵 |
PCR法/キャピラリー電気泳動法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
包括2100 D004-2 1 遺染 |
7~13日 |
備考
項目
- 受付曜日:月~金曜日(休日とその前日は受付不可)
- 家族性非ポリポーシス大腸癌(リンチ症候群)の遺伝学的検査として実施の場合にご依頼ください。
- 検査に当たり、被検者へ十分な説明を行ってください。被検者ご自身の承諾が文書で得られた場合にのみ、検査を受託します。依頼書の被検者名はプライバシー保護のため、匿名化をお願いします。また、検査前後の被検者への十分なカウンセリングを併せてお願いします。
依頼
- 『遺伝学的検査依頼書【遺伝子検査】』をご利用ください。
検体
- ※チャート参照:マイクロサテライト不安定性検査(リンチ症候群)の材料
- 癌部位は、病理組織診断にて腫瘍が認められた部位をマーク(実線で囲む)したHE染色スライドを併せてご提出ください。
- 本検査で必要な腫瘍細胞含有率は50%以上です。
- 癌部位、非癌部位を別容器に入れ、ラベルにおのおのの部位名(癌部位、非癌部位)を明記し、同時にご提出ください。
- 強酸による脱灰操作をした検体は検査できません。
- ホルマリン固定検体では、固定条件によって核酸の断片化が著しく、解析不能となる場合があります。検体の取り扱いについては、日本病理学会「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」をご参照ください。
診療報酬
- 保険名称:悪性腫瘍組織検査/悪性腫瘍遺伝子検査/処理が容易なもの/その他のもの
- 実施料:包括2100
- 診療報酬区分:D004-2 1
- 判断料区分:遺伝子関連・染色体検査
リンチ症候群の診断の補助を目的として患者本人に行った場合に限り、患者1人につき1回に限り算定できます。算定に当たっては、「マイクロサテライト不安定性検査(その他のもの)」と診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。
「悪性腫瘍遺伝子検査」、「造血器腫瘍遺伝子検査」、「免疫関連遺伝子再構成」、「FLT3遺伝子検査」または「JAK2遺伝子検査」のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定できます。
患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して悪性腫瘍遺伝子検査を実施した場合は、次の通り算定します。2項目:4000点。3項目:6000点。4項目以上:8000点。
チャート

臨床的意義
マイクロサテライト不安定性検査は家族性非ポリポーシス大腸癌のスクリーニング検査として有用。MSI解析はPD-1やPD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤の適応判定のバイオマーカー応用にも期待されている。
マイクロサテライトとはゲノム上に1~数塩基の繰り返しにより構成される反復配列が散在する領域を指し、DNA複製エラーを修復するミスマッチ修復機構(NMR)に異常が生ずると、この領域にマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability;MSI)と呼ばれる反復配列の個数の差による長さの変化が生じる。
代表的な遺伝性大腸癌であり、リンチ症候群とも称される遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary nonーpolyposis colorectal cancer;HNPCC)においては、その90%以上にMSIが認められるとされており、MLH1 遺伝子のプロモーター領域のNMRの異常に起因する散発性の大腸癌の5~10%もMSI陽性といわれている。
MSIの検出は、家族性非ポリポーシス大腸癌のスクリーニング検査として有用である。
なお、本検査の実施については日本家族性腫瘍学会より『家族性非ポリポーシス大腸癌におけるマイクロサテライト不安定性検査の実施についての見解と要望』が公表されているので、併せてご確認いただくようお願いしたい(http://jsft.umin.jp/)。
参考文献
澤田元太, 他: 大腸がんperspective 1, (2), 115, 2014.