検査項目解説検査項目解説

掲載内容は、2021年9月1日時点の情報です。

入力コード 27468  統一コード 5D560 
項目名 抗p53抗体
anti-p53 antibody
実施料
包括163
判断料区分 生Ⅱ 
健康保険名称  腫瘍マーカー/抗p53抗体 
検査方法
CLEIA
検査材料
血清
 
検体量(ml)
容器番号
保存方法
1 血清 0.4
01
冷蔵
報告所要日数
2~3日
基準値(単位)  
U/mL

1.30 以下

臨床的
意義 
癌抑制遺伝子p53が変異して生じた、異常蛋白に対する抗体。既存の腫瘍マーカーとは相補的で、食道、大腸、乳癌で早期から上昇。
   p53蛋白質は分子量53kDaで、393個のアミノ酸からなる核内蛋白質である。第17番染色体(17p13.1)に局在する癌抑制遺伝子「p53遺伝子」により産生される「p53蛋白」は、細胞周期進行の制御、遺伝子修復酵素の活性化、アポトーシス誘導能など多彩な働きがあり、遺伝子の異常から生体を守る機能を持っている。

 細胞を1つの「国家」にたとえれば、p53は暴走する政府を監視する役割を果たす「議会」のような蛋白質である。すなわち、「細胞周期の停止」「DNAの修復」という形で、行過ぎた活動から国家を守る役割を果たすばかりでなく、遺伝子がいよいよ修復不能となれば「細胞の自殺」であるアポトーシスに誘導し、娘細胞に損傷を与えないようにする役割まで行う。このように、生態の恒常性維持に必須の役割を担うのがp53蛋白である。

 もしp53遺伝子に突然変異が発生し、変異型p53蛋白が産生されると、正常なp53蛋白の機能が損なわれ、癌が発生すると考えられている。いわば議会による「監視機能」を失った政府が暴走してしまうようなものである。

 ヒト癌細胞におけるp53遺伝子の変異は、大腸、胃、食道、乳腺、肺、脳など多様な臓器に認められ、異常な機能を獲得した変異型p53蛋白の蓄積が、種々の腫瘍組織において観察されている。そして血中の「抗p53抗体」出現は、p53遺伝子変異と非常に高い相関が報告されている。これは、正常細胞にはp53蛋白はごく少量しか存在しないのに対し、p53遺伝子に変異が生ずることで半減期が延長した結果、変異型p53蛋白が細胞核内に蓄積し、さらに高次構造の変化に起因して抗p53抗体が出現するためと考えられている。このように、癌組織で起こっている遺伝子変異を、血中抗体で測定できるのが本項目の特徴である。

 p53抗体研究会による多施設共同研究によれば、血中p53抗体の陽性率は、各種固形癌1085例の20.4%で、内訳をみると頭頚部癌では32.3%、食道癌30.0%、大腸癌24.0%、子宮体癌22.7%、乳癌では18.3%が陽性であったと言う。組織型では腺癌よりも扁平上皮癌の方が高いとされる。この陽性率は、従来の腫瘍マーカーに比べて特に高いものではないが、p53抗体は出現の機序が異なる上、p53遺伝子変異は癌の初期に起こるとされるため、ステージI以下の早期症例でも陽性がみられるという。ただし、癌の進行度(ステージ)との相関はあまり無いとされる。p53抗体を、消化器癌や乳癌に同じく広いスペクトルを持つCEAなどと組み合わせることで、診断効率の向上に繋がるとされている。

 なお、健常人集団でカットオフ値を上回る偽陽性は5%未満、中央値は0.33U/mlと報告されている。癌患者では、術後は値が低下するのが一般的であるが、島田らは術後も10U/mlを超える場合、再発死亡の可能性が高いと報告している。

【高値を示す病態】
 癌(頭頸部癌、食道癌、大腸癌、子宮体癌、乳癌など)
(2014年4月現在、保険診療では食道、大腸、乳癌が強く疑われる患者にのみ適応が認められている)
【低値を示す病態】
 低値側での臨床的意義は少ない
 

※総合検査依頼書のマークチェックで依頼可能な項目です。

チャート 

腫瘍部位とマーカーの有用性

腫瘍マーカー値の生理的変動因子

容  器 
提出容器

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