急性呼吸器感染症を引き起こす病原体であるクラミドフィラ・ニューモニエの抗体検査である。

　クラミドフィラ・ニューモニエ（Chlamydophila pneumoniae）は、ヒトを自然宿主とし、ヒトからヒトへと感染し気管支炎や肺炎などの急性呼吸器感染症を引き起こす病原体である。

　クラミドフィラは病原微生物の一種で、細胞壁やDNA、RNAを持ち二分裂増殖をする点は細菌に似ているが、細胞内寄生で生存する点が異なっている。クラミドフィラ属にはこの他、鳥類を介して呼吸器感染を起こすオーム（鸚鵡）病の病原体Chlamydia psittaciや、C. trachomatis（Ct）、C. pecorumなどがある。このうちC. pecorumのヒトへの病原性は確認されていない。

　Ctは主に尿路や性器などに感染し、第4性病や不妊症の原因となる。いずれもテトラサイクリンが有効とされる。

　本病原体による肺炎は、本邦でも学校内や家族内で集団感染が報告されている。成人では約半数が本抗体を保有しているといわれており、また、成人の市中肺炎の十数%がニューモニエに起因するという。

　ニューモニエは培養が難しいため、培養同定や抗原検査はあまり行われず、抗体検査による血清診断が行われている。ニューモニエに特異的な外膜複合体（COMC）抗原を用いて各抗体を測定する。ニューモニエに感染するとまずIgMが上昇し、次いでIgGが上昇するが、IgMが陽性である時期のタイミングを逃すことも多い。IgAはクラミドフィラの感染後の活動状態と関連があるためIgAがよく測定される。

【陽性を示す疾患】

クラミジア肺炎

【高値を示す疾患】

クラミジア咽頭炎