研究検査 掲載内容は、2024 年 7 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 健常者参考値(単位) | 所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
25857 |
アミロイドβ(1-40) 〈髄液〉β-amyloid(1-40)5C205-0000-041-023 |
単独検体
遠心
|
02 ↓ 指定容器 88 |
凍-20℃以下 |
EIA | pg/mL |
項目 コード |
検査項目 |
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25857 |
アミロイドβ(1-40) 〈髄液〉β-amyloid(1-40)5C205-0000-041-023 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
単独検体
遠心
|
02 ↓ 指定容器 88 |
凍-20℃以下 |
EIA |
基準値 (単位) |
所要 日数 |
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pg/mL |
備考
項目
- 検体取り扱い上の問題のためクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を強く疑う患者検体の受託はできません。
「CJD疑い例」とは厚生労働省遅発性ウイルス感染調査研究班「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル(改訂版)」における孤発型CJDの診断基準で「ほぼ確実例」と同様の臨床症状であり、特有の検査所見などを示す患者を指します。 - お預かりした検体での追加検査や検体返却は不可(検体取り扱い上の問題のため)。
- 常盤特殊分析センターに再委託しています。
依頼
- 『タウ蛋白・アミロイドβ関連検査依頼書』をご利用ください。
検体
- 遠心分離を行い、必ず上清をポリプロピレン製の専用容器(スクリューキャップ式)に入れて凍結(-20℃以下)で保存ください(測定対象物質はポリプロピレンに吸着しにくいため)。
検体は容器と共にお届けした専用袋に入れてご提出ください。 - 必ずタウ蛋白・アミロイドβ関連検査の専用検体としてご提出ください。
日数
- 測定は月1回です。
「研究検査」分野共通の特記事項
- [ご注意]「研究検査」として掲げる各項目は研究用のため、定常的には検査を実施していません。詳細は、別冊の『研究検査ガイド』をご参照いただくか、または営業担当者にあらかじめお問い合わせください。
容器
容器番号02:汎用容器
- 容量: 4mL・10mL
- 添加剤: -
- 保管方法:常温
- 主な検査項目: 血清,血漿提出用
容器番号88:タウ蛋白・アミロイドβ用容器
- 容量: 3.4mL
- 添加剤: -
- 保管方法:常温
- 有効期間:外袋表示
- 主な検査項目: アミロイドβ(1-40),
アミロイドβ(1-42)
検査項目解説
測定意義
アルツハイマー病患者の脳に蓄積する疎水性ペプチドである。血中濃度の測定には高感度化が求められる。
本邦での認知症患者数は600万人以上と推定され、世界では約2,400万人、2040年には8,000万人にも達すると考えられている。認知症の中で最も頻度が高いのはアルツハイマー病(AD)で、全体の40~60 %を占めるとされる。
多くのAD症例では、病理学的特徴として、大脳にアミロイドβタンパク質(Aβ)の細胞外沈着が認められる。Aβはアミノ酸40~43残基からなる疎水性ペプチドタンパク質であり、カルボキシル基末端側の断端の違いにより、40個のアミノ酸で構成されるAβ40と、42個で構成されるAβ42に大別される。Aβの主たる産生場所は脳の神経細胞であり、髄液または血液脳関門(BBB)を介して血液中に排泄される。
Aβの元をたどると、695残基(神経細胞特異型)からなるAD原因因子(amyloid precursor protein:APP)から2段階の切断を経て生成される。その第1段階では、APPがタンパク質分解酵素であるβセクレターゼによって2つに分断され、C末端側の断片(CTF)がつくられる。第2段階ではCTFがγセクレターゼで分解され、最終的にN末端側のAβと、C末端側のAPP細胞内領域断片(APP intracellular domain:AICD)が生成される。
通常、Aβ40とAβ42の濃度比は9:1ほどであるが、過剰に産生されたAβの中で特にAβ42は不溶性・凝集性が強く、脳組織に蓄積しやすい。また、最初にAβ42が凝集し、それを核として線維形成を行うという説もある。ADでは不溶性となったAβの脳から髄液中へのクリアランスが低下するため、髄液中のAβ42濃度が低下すると考えられている。
現在、ADの診断マーカーには、タウ蛋白などいくつかが知られているが、これらのマーカーを組み合わせたAD index(タウ蛋白の濃度にAβ40/Aβ42を乗じた値)、Aβ ratio(Aβ42/Aβ40)なども新たな指標として検討されている。
特に血中のAβ ratio低下がAD発症の大きな危険因子とされており、比が低い群で認知機能の有意な低下が認められたという報告もある。