検査項目解説 掲載内容は、2022 年 5 月 1 日時点の情報です。
項目 コード |
検査項目 | 採取量(mL)
遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 | 基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
01640 |
亜鉛 (Zn) 〈血清〉3I030-0000-023-274 |
単独検体
遠心
|
指定容器
68 |
18日 冷蔵 |
原子吸光法 | μg/dL 80~130 |
136 D007 37 生Ⅰ |
2~3日 |
項目 コード |
検査項目 |
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01640 |
亜鉛 (Zn) 〈血清〉3I030-0000-023-274 |
採取量(mL) 遠心 提出量(mL) |
容器 | 安定性 保存 方法 |
検査方法 |
---|---|---|---|
単独検体
遠心
|
指定容器
68 |
18日 冷蔵 |
原子吸光法 |
基準値 (単位) |
実施料 診療報酬区分 判断料区分 |
所要 日数 |
---|---|---|
μg/dL 80~130 |
136 D007 37 生Ⅰ |
2~3日 |
備考
検体
- 日内変動や食物の摂取により血中濃度が低下しますので、朝食前の午前中に採血してください(基準値は朝食前の採血により得られたデータです)。
- 必ず指定容器で採取し、採取後は別の容器に移さず、専用検体としてご提出ください(同じ容器を用いる項目は同一検体でも可)。汎用項目も同時にご依頼の際は、金属分析用容器(容器番号68)と汎用容器(容器番号01)の2種類をご提出ください。
- 指定容器は、ゴム栓の影響はありません。
基準
- 基準値は日本臨床栄養学会『亜鉛欠乏症の診療指針2018』の亜鉛欠乏症診断基準に則った値です。
参考
- 総合検査依頼書のマークチェックで依頼可能な項目です。
診療報酬
- 保険名称:血液化学検査/亜鉛(Zn)
- 実施料:136
- 診療報酬区分:D007 37
- 判断料区分:生化学的検査(Ⅰ)
臨床的意義
代表的な必須微量金属。欠乏すると皮膚炎や味覚障害をきたす。中心静脈栄養・経腸栄養に伴う亜鉛欠乏症の診断に重要。
亜鉛(Zn)は代表的な必須微量金属で、70種以上の酵素(金属酵素)の構成要素として生体のさまざまな代謝系の調節に関与している。
臨床的には血清亜鉛の過剰に遭遇することは稀であり、血清亜鉛の低下をきたす病態の方がはるかに多く、かつ重要である。
亜鉛欠乏により成長発育障害、性腺機能不全、皮膚病変、味覚・嗅覚異常などの障害が惹起される。欠乏症の判定は一般に血清亜鉛値が用いられる。
亜鉛欠乏症の原因には以下のものがある。
1. 吸収・排泄機構の障害によるもの
2. 摂取不足によるもの
摂取不足は低亜鉛食(菜食主義者など)のような例を除けば医原性のものが多い。特に長期静脈栄養や経腸栄養に伴う亜鉛欠乏症が重視されている。
一方、腸性肢端皮膚炎は先天性亜鉛欠乏症として知られ、腸管からの亜鉛吸収不良が原因である。2017年にはノベルジンが低亜鉛血症の適応となった。また、2018年には日本臨床栄養学会にて「亜鉛欠乏症の治療指針2018」が作成されている。
透析患者の血清亜鉛は低値を示すことが多く、味覚・嗅覚異常や性欲減退を訴える例でより著しい。この原因には腸管からの亜鉛吸収不良が関与すると考えられており、亜鉛補充により改善される。
【高値を示す病態】
[血清] 溶血性貧血、多血症、好酸球増加症
[尿] 多発性神経炎、肝硬変、糖尿病
【低値を示す病態】
[血清] Zn摂取不足(中心静脈栄養、経腸栄養時に起こり易い)、腸性肢端皮膚炎、重症肝障害(肝硬変、肝膿瘍、肝癌など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、Crohn病など)、貧血(悪性貧血、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血など)、糖尿病、腎疾患(糸球体腎炎、ネフローゼ症候群など)
[尿] 多発性筋炎、Parkinson病、重症筋無力症
参考文献
松本武志, 金井 晃: 検査と技術 9, 478, 1981.